EH酒造の酒造り

安曇野で育まれた酒米「ひとごこち」「美山錦」
地の利を活かしたこだわりの酒

原料米

原料米の多くは、長野県産の酒米「美山錦」「ひとごこち」を使用しております。
栽培に手間がかかるため、しぶる農家に「梓川の豊かな水に恵まれた穀倉地帯で育った酒米で、うまい酒を造りたい」という熱意が通じて今やEH酒造の酒造りに欠かせない原料となりました。
また、酒米の王様と呼ばれる「山田錦」。特に兵庫県産の特A地区の吉川町産山田錦が最高とされております。 その山田錦を手に入れるために、兵庫県まで赴き直接交渉の末に取り扱いを認められ、数量に限りがあるためこだわりの高級なお酒に使用しております。

仕込水

北アルプスの麓に位置する安曇野は、名水百選に選ばれた「安曇野わさび田湧水群」がある自然豊かな水の郷です。
北アルプスに降った雨や雪が最大高低差2500メートルもの高地から地下水となった、清らかな水を仕込水として使用しています。

酒造り

麹造り

安曇野の天然水に浸して蒸した酒米に麹菌を付着させ、麹を造ります。
麹造りは酒質を左右する重要な工程です。

酒母造り

酒母は麹、蒸米、水、そして酵母を加えて増殖させます。
麹が米を糖分に変え、その糖分からアルコールをつくる酵母を健全に育てます。

醪(もろみ)・仕込み

酒母に、麹、蒸米、水を三回に分けて仕込みます。
これが日本酒造り伝統の「三段仕込み」です。
醗酵は3週間から1カ月かけじっくりとおこないます。

上槽(じょうそう)・貯蔵

醗酵期間が終わると、醪を搾って新酒と酒粕に分ける作業が上槽です。
良いタイミングで酒を搾ることが、味を決めるうえで非常に大切です。
上槽された新酒は、ろ過、火入れという加熱殺菌を行い出荷される時を待ちます。

酒米の田んぼ
01

洗米〜浸漬

洗米はうまい酒の土台づくり。米の浸漬時間は秒単位の勝負。

料理でたとえるなら材料の下ごしらえ。大吟醸の醸造では、玄米は元の大きさの40%以下にまで削られ、心白とよばれる半透明の小さな真珠のような良質のでんぷんのかたまりが用いられます。この洗米のタイミングは実に厳密。心白にヒビが入らぬよう、細心の注意を払いながら手洗いでていねいに米ぬかを洗い落とします。洗い場に緊張が走り、時計を見ながらカウントダウンする杜氏の合図で、全員の手の動きが見事にそろう瞬間です。

洗米が終わると、浸漬タンクの中で米に水を浸透させます。米の水の吸い具合は毎年微妙に異なるため、杜氏は過去のデータや長年の経験に基づいた最適の水量を決定し、秒単位で浸漬時間を調整。この吸水量が、次の蒸米づくりの良し悪しを左右するのです。

洗米
洗米 昔ながらの手作業での洗米作業
浸水タンク
浸水タンク 筒式5基、さな板式1基
02

蒸し〜冷却

蒸米の理想は「外硬内軟」。良い麹、良い酒母づくりの下準備。

浸漬した米は水切りをし、蒸米機で蒸します。水分量は洗米〜浸漬段階で調整しているため、蒸し時間はほぼ一定。蒸すことででんぷんに酵素作用が働き、麹菌の繁殖が促進されます。蒸米の理想形は、酒づくりに適した「外硬内軟」。できあがった蒸米は麹や酒母づくり、もろみの仕込みで使用されますが、軟らかすぎると麹の菌糸が米粒の表面にまわってしまい、酵母が思うように増殖されません。反対に、蒸し米を硬くしてしまうと酵母の糖分が出てこないので、もろみの仕込みですぐ米が融けてしまわない蒸し加減が求められるのです。

蒸し終わると、蒸米は仕込み分と麹づくり分に分けられ、それぞれ最適の温度になるまで冷却されます。

横型連続蒸米機
横型連続蒸米機 能力:1,000kg/h 水きりした浸漬米を蒸す。
蒸米冷却機
蒸米冷却機 風を送り強制的に冷却する。
03

製麹〜酛立て

米のでんぷんを糖化する「一麹」。もろみの発酵を促す「二酛(もと)」

酒造には「一麹、二酛(もと)、三造り」という言葉があります。麹は蒸米に麹菌をふりかけて増殖させたもので、米のでんぷんを糖化させる麹の出来・不出来は、酒質に大きな影響を与えます。

さらに、この麹に蒸米、水、酵母を加えてつくる酒母は、もろみの発酵を促す酵母を大量に培養したもの。糖分をアルコールに変える酒母はうまい酒造りには欠かせず、文字通り「酒の母」と言われています。

特に大吟醸の場合は、低温発酵で長期にわたって微生物を扱うため、空気中の雑菌が繁殖して酵母の増殖に失敗し、腐造する危険性もあるのです。杜氏は細心の注意を払いながら、麹づくりに適したぎりぎりの温度管理を徹底させています。

04

仕込み〜発酵

味の決め手は「三段仕込み」。もろみは、蔵の特徴の証。

酒母に蒸米、麹、水を加えて攪拌し「もろみ」をつくる仕込みは、「三段仕込み」と呼ばれる酒造過程です。仕込みは、添仕込、仲仕込、留仕込の3回に分けてブレンドされる三段仕込が一般的。添仕込〜仲仕込の間には1日「踊り」と呼ばれる休息期間がはさまれ、雑菌の繁殖を抑えつつ、計4日間で酵母の繁殖が促されます。もろみの仕込みにおいては、酒母、蒸米、麹、水の配合比率の調整によって、酒の風味・特徴が決定されます。つまり、もろみは酒蔵の味の象徴であり、杜氏の酒づくりの対する意気込みやこだわりの結晶と言えるでしょう。

仕込みが完了したもろみは早くて約20日間、遅くても約40日ほどで発酵が終了し、これを搾ることで原酒ができ上がります。

1日目:添仕込(初添え)
2日目:休み(踊り)
3日目:中仕込(仲添え)
4日目:留仕込(留添え)
仕込タンク
仕込タンク 容量:9キロリットル。ジャケットに
不凍液を流し冷却する。発酵期間は20〜40日間。
05

上槽〜ろ過・火入れ〜びん詰め

絞りたての新酒の香りに酔う。銘酒誕生の瞬間に味わう極上の喜び。

いよいよ酒造りの最終段階です。発酵が終了したもろみをしぼり、新酒(生酒)と酒粕に分ける作業は「上槽」と呼ばれます。しぼりたての新酒は、ほんのりと美しい黄金色の輝きを放ち、荒削りながらも新鮮な香りと若々しい味わいが特徴。「生貯」の場合は、一足飛びにびん詰め過程に進んで加熱・殺菌されますが、通常の酒造りでは雑味の素となる諸成分をろ過します。

さらに、防腐のために加熱処理(火入れ)を施し、タンクに貯蔵し熟成。これが原酒となり、各製品ごとに仕込水と同じ水を加えて調整されます(加水調整を行わない酒は、原酒として商品化)。最後のびん詰め過程で再び加熱・殺菌処理を施し、安全かつ高品質の商品を出荷します。

貯蔵タンク
貯蔵タンク 容量:7〜9キロリットル。加熱殺菌し、低温貯醸する。4〜10ヶ月
瓶詰機
瓶詰機 最後の過程の瓶詰作業を行う。